浅田次郎の本を紹介します

浅田次郎の本を読みました。書名をクリックするとその本の紹介へジャンプします。

一路 浅田次郎 中公文庫

一路(上) 浅田次郎

 

一路(下) 浅田次郎

内容(裏表紙のあらすじより)

失火により父が不慮の死を遂げたため、江戸から西美濃・田辺郡に帰参した小野寺一路。齢十九にして初めて訪れた故郷では、小野寺家代々の御役目・参勤道中御供頭を仰せつかる。失火は大罪にして、家督相続は仮の沙汰。采配に不手際があれば,ただちに家名断絶と追い詰められる一路だったが、家伝の「行軍録」を唯一の頼りに、いざ江戸見参の道中へ!
中山道を江戸へ向かう蒔坂左京大夫一行は、次々と難題に見舞われる。中山道の難所、自然との闘い、行列の道中行き合い、御本陣差し合い、お殿様の発熱……。さらに行列の中では御家乗っ取りの企てもめぐらされ……。到着が一日でも遅れることは御法度の参勤交代。果たして、一路は無事に江戸までの道中を導くことができるのか!

読んだ感想

テレビドラマを随分前に見ていたが筋は覚えていない。原作がどうだったのか興味はあった。
上巻の前半は、参勤交代の進行も一致団結していて、あまりにもうまく行き過ぎていて不自然な感じだった。
それが、一路と真吾の両方の父親とも叔父の将監に暗殺されたことを知らされたことと、事情を知っている参勤交代の一行の支援に支えられての行軍だということがわかった時点から、お家騒動が絡んできて話が面白くなってきた。
宿場や難所でのエピソードで人情味を織り交ぜていることで浅田色が出ていると思う。
旧中山道という普段馴染みの薄いルートでの観光案内という一面でも楽しめる。(上巻読了時点2018.01.01)

 

下巻を読み終わった。面白かった。
各所で出てくる「御供頭心得」を読むのもだんだん慣れてくる。
ストーリーの中で面白いのがいくつかあるがその3つを上げる。

 

一つが、「前途遼遠」ででてくる「風陣の秘走」
3人が組みになって順次先頭を交代しながら長距離を駆け抜ける技。
三十二里を三刻半で駆け抜けるというのだから、およそ130kmを7時間で、時速17kmあまりという計算になる。
これは、箱根駅伝競争の一区間20kmほどを1時間ほどで駆ける選手たちに引けを取らない。
しかも休み無しに走り抜けるというのだから、やはり超人技、秘技なのであろう。
三人が江戸に到着したあとで、銭湯で繰り広げられるエピソードも愉快だ。
浅田さんはときどきこういう面白い話を作品に織り交ぜてくれるので楽しい。

 

二つ目が、同じく「前途遼遠」で出てくる加賀藩のお姫様のお話。
加賀百万石とはよく聞く言葉で、私は隣県の富山に住んでいたので馴染みがあるが、あまりその実態は知らなかった。
作中で、お姫様のあまりにも世離れしたふるまいや考え方に、改めて加賀百万石の大変さを思い知らされた気がする。

 

三つめが、解説で檀ふみさんも触れているが、御殿様の行状や考え方を知ることができるのが新鮮。
逢坂のお殿様のバカ殿様のふりをしているわけが興味深い。
最後まで出世を望まずに芯を通したところは、浅田さんの言いたかったことの一つだろうか。
「大義じゃ」とか、「祝着」とか行ってだけいるのが名君の条件とはなかなか面白い見方。

 

他にも取り上げたいエピソードはいくつもあるが、とにかく読み物としてとても楽しく読ませてもらえた。

 

そして旧中山道のいろいろな宿場町、初めて聞く地名が多かったが、
この先、何かで聞く機会があるたびに、何か懐かしく思い出されそうな気がする。)2018.01.08)

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赤猫異聞 浅田次郎 新潮文庫

赤猫異聞 浅田次郎

内容(裏表紙のあらすじより)

時は、明治元年暮。火の手の迫る伝馬町牢屋敷から解き放ちとなった訳ありの重罪人たち……博打打ちのしんしゅうむしゅく繁松、旗本の倅岩瀬七之丞、夜鷹の元締め白魚のお仙。牢屋同心の「三人のうち一人でも戻らなければ戻った者も死罪、三人とも戻れば全員が無罪」との言葉を胸に、自由の身となった三人の向かう先には……。幕末から明治へ、激動の時代をいかに生きるかを描いた、傑作時代長編。

読んだ感想

3人が解き放ちになるまでの説明がやたらと長く続いた。それも難しい漢字と言い回しがあって、読み進むのに時間がかかった。
解き放ちのあと、3人それぞれの意趣返しの様子が描かれるところから、話のペースが上がってきてだんだん引き込まれていく。
だんだん話が神がかりというか怪奇物っぽくなってくる。
その謎を、次に出て来る登場人物の話によって解き明かされていく筋立てになっている。
一見ミステリーっぽい作品だが、実は侍の時代から明治に移る時代の間での混乱の中で、信念を持って生きることの難しさと大切を作者は描きたかったようだ。
練りに練った作品との印象を受けた(2017.10.09)

 

つぶやき岩の秘密 (新潮文庫) 新田次郎

あらまし

両親を海難事故で亡くした六年生の紫郎は、岩場に耳を当て、海のつぶやきを聞くのが好き。それは母の声のように響く。ある日、崖の半ばに人影を一瞬見た。幽霊を見たのか。先生の協力を得て、謎の人物の解明に乗り出すが、謎は謎を呼び、ついには死者が。息詰まる冒険と暗号解読を経て紫郎は、崖の秘密、両親の死の秘密を掴む…。物語の神様、新田次郎が描く傑作少年冒険小説。

あやし うらめし あな かなし (双葉文庫) 浅田次郎

あらまし

著者がこどもの頃、伯母から聞かされた“こわい話”を元に書いた「赤い絆」「お狐様の話」。作家になる前に体験したエピソードをふくらませた「虫篝」など、日本特有の神秘的で幻妖な世界で起こる、哀しみと幸いの奇跡を描く極上の奇譚集。「文学の極意は怪談にあり」を見事に体言した七つの優霊物語。

 

 

蒼穹の昴1 (浅田 次郎)


蒼穹の昴(1) (講談社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう―中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児は、占い師の予言を通じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀に従って都へ上った。都で袂を分かち、それぞれの志を胸に歩み始めた二人を待ち受ける宿命の覇道。万人の魂をうつべストセラー大作。

 

 

蒼穹の昴2 (浅田 次郎)


蒼穹の昴(2) (講談社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

官吏となり政治の中枢へと進んだ文秀。一方の春児は、宦官として後宮へ仕官する機会を待ちながら、鍛錬の日々を過ごしていた。この時、大清国に君臨していた西太后は、観劇と飽食とに明けくれながらも、人知れず国の行く末を憂えていた。権力を巡る人々の思いは、やがて紫禁城内に守旧派と改革派の対立を呼ぶ。

 

 

蒼穹の昴3 (浅田 次郎)


蒼穹の昴(3) (講談社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

落日の清国分割を狙う列強諸外国に、勇将・李鴻章が知略をもって立ち向かう。だが、かつて栄華を誇った王朝の崩壊は誰の目にも明らかだった。権力闘争の渦巻く王宮で恐るべき暗殺計画が実行に移され、西太后の側近となった春児と、革命派の俊英・文秀は、互いの立場を違えたまま時代の激流に飲み込まれる。

 

 

蒼穹の昴4 (浅田 次郎)


蒼穹の昴(4) (講談社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

人間の力をもってしても変えられぬ宿命など、あってたまるものか―紫禁城に渦巻く権力への野望、憂国の熱き想いはついに臨界点を超えた。天下を覆さんとする策謀が、春児を、文秀を、そして中華四億の命すべてを翻弄する。この道の行方を知るものは、天命のみしるし“龍玉”のみ。感動巨編ここに完結。

 

 

ひとは情熱がなければ生きていけない‐勇気凛凛ルリの色 (浅田 次郎)


ひとは情熱がなければ生きていけない(勇気凜凜ルリの色) (講談社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

いつかきっとと熱望しながら回り道をして小説家になった著者。遊びも仕事も生活も、当代のベストセラー作家は何を指針に生きてきたのか?ダンディズムの父、映画女優のような母が教えてくれたこと。後輩たちに伝えておきたいこと。痛快エッセイ“勇気凛凛ルリの色”シリーズに連なる、浅田ファン必読の書。

 

 

芙蓉の人 (浅田 次郎)


芙蓉の人 (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

時は明治28年である。正確な天気予報をするためには、どうしても富士山頂に恒久的な気象観測所を設けなければならない。そのために野中到は命を賭けて、冬の富士山に登り、観測小屋に篭った。一人での観測は無理だという判断と夫への愛情から、妻・千代子は後を追って富士山頂に登る。明治女性の感動的な物語がここにある。

 

 

天切り松読本 (浅田 次郎)

天切り松読本 (浅田 次郎)

裏表紙のあらすじより

著者自らが、作家生活で生み出した作品たちの「長男」だと断言する傑作「天切り松 闇がたり」シリーズ。その魅力をさらに楽しむための公式ガイドブックができました。安吉一家が活躍した物語の舞台を著者と歩く特別企画や書き下ろしエッセイ、大正ロマンあふれる帝都東京や登場人物たちを豊富な写真と図版で紹介するコーナーなど読みどころ満載です。文庫オリジナル編集。ファン必携です!(2014.03.22記)

 

月下の恋人 (浅田 次郎)

裏表紙のあらすじから

恋人に別れを告げるために訪れた海辺の宿で起こった奇跡を描いた表題作、「月下の恋人」。ぼろアパートの隣の部屋に住む、間抜けだけど生真面目でちょっと憎めない駄目ヤクザの物語「風蕭蕭」。夏休みに友人と入ったお化け屋敷のアルバイトで経験した怪奇譚「適当なアルバイト」・・・。“心の物語」の名手があなたに贈る味わいある作品集。珠玉の十一編を収録。

感想

11の短編集
「情夜」よくわかりません。
「告白」幼いころに離婚して、離れ離れになった父親が毎月仕送りしてくれることにまつわる話。
ちょっとしたどんでん返し。これもよくわかりません。
「適当なアルバイト」バイト先のお化け屋敷にホントにいた幽霊?
「風蕭蕭(しょうしょう)」映画唐獅子牡丹のストーリーが、司馬遷の史記のパクリだった?という??なおはなし。
「忘れじの宿」旅先の宿で出会ったマッサージ師が、過去の思い出を忘れさせてくれるというお話。
「黒い森」過去を全く知らない女性と結婚しようとした男が、周囲の皆から反対され、そのわけが全く分からずに悩むお話。
「回転扉」回転扉が苦手な女性。回転扉をくぐるたびに、自分の人生を回転させる人物と出会うという不思議なお話。少し、浅田次郎らしい短編。
「同じ棲」ツマと呼ぶんですね。夫婦がそれぞれ別に自宅に帰ってきたときに、それぞれの伴侶の未来の人物に出会うというお話。
「あなたに会いたい」ふるさとに帰って借りたレンタカーのカーナビのメニューに“あなたに会いたい”があり、それを選択して指示に従うと、あるところに連れて行かれる。最後が泣かされました。
「月下の恋人」恋人と別れ話をしに行った旅先の旅館で、相手から別れられないので心中してくれと迫られる。
同宿のアベックが先に心中してしまうのを目撃し、心中を思いとどまるのだが・・・という不思議なおはなし。
「冬の旅」冬の新潟に向かう駅の中で、昔の自分の父母が駆け落ちして乗り込んできたのに出会うというお話。
この短編集は、読み終えるまでずいぶん気合いが要りました^^;;(2013.09.28記)

 

 

活動寫眞の女 (浅田 次郎)

裏表紙のあらすじより

昭和四十四年、京都。大学の新入生で、大の日本映画ファンの「僕」は友人の清家忠昭の紹介で、古き良き映画の都・太秦の撮影所でアルバイトをすることになった。そんなある日、清家は撮影現場で絶世の美女と出会い、激しい恋に落ちる。しかし、彼女は三十年も前に死んだ大部屋女優だった・・・。若さゆえの不安や切なさ、不器用な恋。牛縄荒れた時代への郷愁に満ちた瑞々しい青春恋愛小説の傑作。

感想

浅田さんお得意の幽霊が出てくるお話。
30年も前に亡くなったのに、映画に出演できなかったことが恨めしくて、撮影スタジオに居ついてしまった大部屋女優。
本当は美し過ぎて、主役を食ってしまうからどの映画監督にも敬遠されてしまったというのが、悲しいというか、ありそうでなさそうな話ですが、大の映画ファンの青年にとりついての悲恋物語。
ではなくて、本人は幸福だったということですね。
ちょっと私にはついていけない感じはありましたが、こんな小説も面白いですね。(2013.09.04記)

 

 

ハッピー・リタイアメント(浅田 次郎)

ハッピー・リタイアメント(浅田 次郎)

裏表紙のあらすじから

定年まであと四年のしがない財務官僚・樋口と愚直だけが取り柄の自衛官・大友。二人が突如転属を命じられたJAMS(全国中小企業振興会)は、元財務官僚の理事・矢島が牛耳る業務実態のない天下り組織。戸惑う彼らに、教育係の立花薫はある日、秘密のミッションを言い渡す。それは汚職か、横領か、それとも善行か!?痛快娯楽「天下り」小説。

感想

著者の浅田さんの実体験、借金を踏み倒した経験、”時効後、権利放棄の確認に来た集金人に、借金を返済した”から着想を得てこの小説が出来上がったとか。
借金を踏み倒した者にも、”返せれば返したかった”。という気持ちがあって、あとで人生に成功して大金を掴んだら、その時に集金人が現れたなら、借金を何倍にもして返すことで、長い間溜まっていたその者の自責の念をはらしてあげられる。

 

だから『時効にあった借金を集金してあげるのは善行である』という論理なんですね。
まだ?私にはそういう経験がないので、その心理はよくわかりません^^;
でもそういう心理があるということを了解して読み進めると、この小説はとても面白いです。

 

登場人物の、樋口・大友・立花、それぞれ何かちょっと普通とは”ずれている”性格の持ち主です。
そんな彼らが、回収した3億円を、自分たちのものにすることを計画します。

 

「善行をして、善意で集まったお金を自分たちが使うのは別に悪いことではない」という論理らしいですが、ちょっと理解不能。
ここら辺が、アラベスク(悪漢)小説の達人である浅田さん独自の領域、そして、出版社が幻冬舎であるゆえんかな?

 

ラストはこれでよかったのかどうか?本当にハッピー・リタイアメントであったかどうか?本人たちが納得すればそれは良しでしょう。
官僚の仕組みとかが、しっかりと書かれていて、そういうことを知ることができるだけでも、とても面白くてためになる?小説です^^
(2013.08.04記)

夕映え天使(浅田 次郎)

裏表紙のあらすじより

東京の片隅で、中年店主が老いた父親を抱えながらほそぼそとやっている中華料理屋「昭和軒」。そこへ、住み込みで働きたいと、わけありげな女性があらわれ・・・・「夕映え天使」。定年を目前に控え、三陸へひとり旅に出た警官。漁師町で寒さしのぎと喫茶店へ入るが、目の前で珈琲を淹れている男は、交番の手配書で見慣れたあの・・・「琥珀」。人生の喜怒哀楽が、心に沁み入る六編。

感想

浅田次郎さんの5年前の短編集。
これまでと雰囲気が変わっています。

 

それでも社会の底辺に住む人々の純情というか、一途な生き方への共感という、浅田さんの持ち味は生きています。
(2013.06.18記)

 

 

きんぴか 真夜中の喝采(浅田 次郎)

裏表紙のあらすじより

草壁明夫が殺された。広橋をスケープゴートにした大物政治家・山内龍造の悪行を報道した、あの気鋭のジャーナリストが・・・。訃報を耳にした広橋は凍りつき、草壁に伝え忘れたセリフを口にするために立ち上がる。一方ピスケンと軍曹は、やくざと悪徳政治家が自己弁護と保身に走るなか、正義の暴走を敢行する。三悪漢の破天荒な物語、ひとまず完結!

感想

浅田さんの著作の中で一番好きなシリーズです。
生きるのにぶきっちょな三人。それでも一途なところが好きです。いかにも小説らしく、ハチャメチャなところも。
このシリーズ3冊目の、「真夜中の喝采」たぶんずっと前に読んだことがあります。ところどころ、思い出します。
それでも初めて読むみたいに読み進みました。面白い。そしてちょっぴりさみしくなりました。浅田さん、続編をお願いします!
(2013.05.30記)

 

 

見知らぬ妻へ(浅田 次郎)

裏表紙のあらすじより

新宿・歌舞伎町で客引きとして生きる花田章は、日本に滞在させるために偽装結婚した中国人女性をふとしたことから愛し始めていた.しかし…。(表題作)
才能がありながらもクラシック音楽の世界を捨て、クラブのピアノ弾きとして生きる元チェリストの男の孤独を描いた「スターダスト・レビュー」など、やさしくもせつない8つの涙の物語。

感想

浅田次郎さんの、やさしくもせつない8つの涙の物語。そうですね。どうしたら、あの顔から(失礼!)こんな物語が出てくるのか。
「かくれんぼ」
小さいころに一緒にかくれんぼをして、そのまま置き去りにした子は行方不明のまま。
その罪への記憶を背負った3人の、決してぬぐえない罪の意識。救いようのない話ですが、ラストで救われたのかな・・・
「ファイナル・ラック」
浅田さん得意の、過去とオーバーラップした進行。ビギナーズ・ラックならぬ、ファイナル・ラック、あってほしいものです。
(2013.05.27記)

 

 

 

 

 

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