垣根涼介の本を紹介します

垣根涼介の本を読みました。書名をクリックするとその本の紹介へジャンプします。

人生教習所(上) 垣根涼介 (中公文庫)

人生教習所(上) 垣根涼介

内容(裏表紙のあらすじより)

新聞に不思議な広告が掲載された。「人生再生セミナー 小笠原」。実態は謎だが、そうそうたる企業が後援し、最終合格者には必ず就職先が斡旋されるという。再起をかけて集まってきた人生の「落ちこぼれ」たちは、期待と不安を胸に抱き、はるか小笠原諸島へと出港する! 迷える大人たちのための、新たなエール小説。

読んでみて

全部読み終わって感じたのが、一風変わった人生啓発本だということ。
個性豊かな登場人物3人の考え方や行動が、小笠原でのセミナー体験を通して変化していく様子を十分に伝えてくれる。

 

東大生だが引きこもりで、両親に進められて参加してきた頭の良い浅川太郎。元やくざでやくざのような汚れ死後で出ない仕事を捜そうと考える柏木真一。何事にも自分が悪いと考えてしまい、生活できる目途を得たいと考える内気な女性の森川由美。

 

彼ら落ちこぼれが、セミナーをどう受け止めどう変わっていくかを見ていくだけで、常に読者自身も啓発されて行く仕組みになっていると思う。

 

上巻では、1次セミナーの話が中心。3つのテーマについてセミナーの講義が進められ、その理解度を確認するための中間試験で参加者がふるい落とされる。

 

一つ目のテーマは人生と確率について。
成功には絶対の成功はなくて、常に成功の確率と失敗の確率で成り立っている。ただ努力すれば成功できるわけではない。成功の確率を上げられるように努力する者、失敗の要因を一つずつ確実に減らしていける者である。わたしは、こういうとらえ方をすれば、努力の数値化が出来て、割り切った生き方ができそうな気がした。

 

二つ目のテーマは、人生の経由点と着地点のとらえ方について。
目的を達成するために手段があるが、その手段を実行していくうちにいつの間にか手段が目的になってしまっていないか。
これはわたしにもよくあてはまるテーマで、たとえば健康になるためにウォーキングを始めたのはいいが、いつの間にかたくさん歩くことにだけ努力して、結局足を痛めてしまうとかいうのが自分でも反省すべき点。
もう一人の重要な登場人物である竹崎のレポートでの言葉、”着地点とは、その距離を遠くに置けば人生の目標になり、近くに置けば日々の心もちになる”、この言葉がわたしの印象に残った。

 

三つ目のテーマは、「認知」。心もちとか自意識とも言い換えている。
自意識というものは、その人の現在置かれた、ないしは育ってきた社会的な立場の中で、言語意識と感情、気質によって育まれていく。
自分が何気なく志向していることや、拘っていることの多くが、実を言うと個人個人の自意識を通してみた世界の産物だということ。逆に言えば、その自意識さえ変われば思考も拘りも、意外にあっさりと覆ってしまうということ。
このテーマは、わたしにとっては、自分がこだわってきたことが、少し視点を変えると意外につまらない自分だけのこだわりだったことに気付かさせられた経験から納得させられるテーマだと思う。

 

3つのテーマを、著者の垣根は、生きていく上での基礎的な力と考えているようだ。これから私も、時々このテーマを思い出すようにしよう。(2017.09.07)

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人生教習所(下) 垣根涼介 (中公文庫)

人生教習所(下) 垣根涼介

内容(裏表紙のあらすじより)

引きこもりの東大生、元やくざ、内気な女性ライター……選抜をくぐり抜けた「落ちこぼれ」たちは、ユニークな講義によって新たな視点を獲得し、過去の挫折をとらえなおしていく。そして、最大にして最後の教材は、開催地小笠原そのものだった。その美しい自然と数奇な歴史に織り込まれた真理とは? 謎のセミナー、感動の最終章へ!

読んでみて

下巻は二次セミナーのフィールドワークの続き。それから、欧米系島民から戦中・戦後からアメリカ軍駐留時代、そして本土返還後までのいろいろな体験談を聞く内容が続く。

 

ずっと英語で生活していたのにある日突然日本語に切り替わる。これは、今まで日本語で読み書きや話をしていたのを、突然すべて英語に切り替えるのと同じくらいの辛さがある。それを乗り越えてきた生の体験談。

 

小笠原には、欧米系島民、旧島民、新島民、臨時島民が入り混じって生活する。観光客や、臨時島民の入れ替わりによって常に新鮮な雰囲気に包まれているし、外からの人間にも寛容さがある。

 

そういった環境の中で暮らす人々がいかに自分を確立してきたかを考え感じる中で、自分というものがどうだったか?どうしていくかを考えていけるのでセミナー参加者にとって有意義な時間を過ごすことができた。そしてこの作品を読むわたしも疑似体験ができたというわけだ。

 

なぜ小笠原が物語の舞台に選ばれたか?読み進むうちに小笠原の事情を初めて知り、その理由が理解できた気がする。あまりにも小笠原の人々は歴史に振り回されていたことを知った。そういう事情を読者に知らせたかったことも著者の意図にはあるのではないか?

 

わざわざ小笠原まで行こうという気にまではなれないが、魅力的な島であることはこの作品を通して十分に伝わってきた。
この作品を読むことで、わたしも「人生再生セミナー 小笠原塾」を疑似体験できたことはとても幸せだと感じる。

 

ところで、この作品を読んでいる前半に台風15号が長い間小笠原に居座っていた。天気予報でも長い間小笠原の名前が挙がっており、何か不思議な縁を感じる。

 

作品中では10日間も晴天が続いていた。現実の世界では台風15号の影響はなかっただろうか?特に何も報道されていないので無事を祈りたいし、小笠原の人ひとには、これからもいろいろな困難を乗り越えていってほしいと願うばかりだ。(2017.09.07)

 

 

ボーダー ヒートアイランドIV (文春文庫) 垣根涼介

ボーダー ヒートアイランドIV 垣根涼介

内容(裏表紙のあらすじより)

渋谷のチーム「雅」を解散して3年。カオルは東大生となり、アキは裏金強奪のプロとしてそれぞれ別の道を歩み始めていた。ところが、ファイトパーティを模したイベントを見たという級友の話を聞き、カオルは愕然とする。あろうことか主催者は「雅」の名を騙っていたのだ。過去の発覚を恐れたカオルはアキに接触するが……。

読んでみて

頭のいい犯罪者の話を書かせると垣根さんは抜群の力を発揮する。裏家業と表の世界との境界線がはっきりしていて、それを明確にしておくことがすべての前提として、このストーリーも展開していく。中盤までのアキと慎一郎や章との絡みはちょっとじれったい思いもあったけど、表と裏を使い分けるというベースに絡んでいたのかな。
後半からの、偽ファイトパーティをぶっ潰す展開と昔の仲間との話合いはなかなか見どころがあった。そして、青龍会の松原と、柿沢・桃井とのしのぎの取引をめぐるやり取りも爽快感があった。もう続編はないのかな?(2017.03.01)

 

 

真夏の島に咲く花は (講談社文庫) 垣根涼介

真夏の島に咲く花は 垣根涼介

内容(裏表紙のあらすじより)

陽気で大柄、機嫌悪くなるのは空腹時と眠い時、そんな典型的フィジー人とつきあう茜。良昭は店の従業員に「お客様の料理を食べてはいけません」と教えなくてはならない。ここは独特の文化と時間が流れる楽園なのだ。しかし、若者たちのすれ違い、住民の対立、暴動が彼らの人生を変えていく。幸せとは何か。

読んでみて

文庫本とはいえ、ほぼ500ページの長編。垣根涼介ファンの私は、ブックオフで108円だと迷わず買います。著者の垣根さんは、本当に南米とか南洋の島が好きみたいですね。
この本は、フィジーでの若者たちの交流と、社会の中で生きていく姿を延々と書いていきます。
巻頭にフィジー諸島?の地図が掲げられてますが、主に3つの島で成り立つらしい。西経180度と東経180度の子午線が通過する国なんですね。こういうことを知るだけでも買った意味があった。
主人公はナンディ。朴訥で、都会から来た人間からはどうにもならないダメ人間にしか見えないのだけれども、なぜか人望がある。
島にはフィジー人と、インド系、そしてごく少数の日本人。
どうにもならないフィジー人とインド人との間の軋轢が、ずっとこの物語のベースにあります。作中で、人は何のために生きるのかといったことが何度も問いかけられますが、話を読み進めるにつれて、フィジー人のような生き方もありかな?と思わせられます。それが作者の狙いなんでしょうね。
垣根涼介の作品は、登場人物は決してスーパーマンではありませんが、どこか芯が通っている人物が登場することが多い。それから、いろいろと悩みを抱えている人間らしいんですね。この本もその中の一つ。垣根涼介のファンだったら読んでみてもいいかな。(2017.01.20)

 

 

永遠のディーバ‐君たちに明日はない4- (新潮文庫) 垣根涼介

永遠のディーバ 垣根涼介

内容(裏表紙のあらすじより)

「おれはただ、ずっと自分を胡麻化してきただけだ」。リストラ面接官・村上真介の今度の相手は、航空会社の勝ち組CA、楽器メーカーでくすぶる元バンドマン、ファミレスの超優秀店長、おまけに、破綻した証券会社のOBたち。企業ブランドも価値観も揺らぐ時代、あなたは明日をどう生きる? 全ての働き人たちにパワーを届ける、人気お仕事小説第4弾!「勝ち逃げの女王」改題。

読んでみて

垣根さんの作品のなかでも”君たちに明日はない”シリーズはとてもよい。
いろいろな業種を取り上げて、リストラをせざるを得ない経営側と、リストラをされる側それぞれの状況が具体的に設定されている。
それに対してリストラ面接官・真介の悩みや考え方がよく伝わってくる。当然、作者の考え方が写されているんだろうな。

 

File1.勝ち逃げの女王:夢捨てがたく頑張って中途採用されたキャビンアテンダント(CA)浅野貴和子。その後も着々と仕事でも人生でも足元を固めていく。いわゆる勝ち組。そんな彼女に、あえて後輩の指導のために会社に残らないかと誘導する真介。結果はタイトルの暗示する通りなんだけど、”人それぞれ、生き方もそれぞれだ。何が正しくて、何が正しくないということはない。それで人生、意外と回っていく。”という言葉が印象的です。

 

File2.ノー・エクスキューズ:このエピソードは、ちょっと私には難しい。仕事に何か悩んでボーっとすることが多くなった真介。アシスタントや社長にまで気づかれてしまう。社長の高橋に誘われて行った、佐竹と小平との会食。この二人は、高橋が15年前に首切りをした対象。それなのに毎年会食を重ねてきた。それに真介を帯同した。
社長の真意は何か?ということなんですが、悩む真介に伝えたいことがありました。
その答えは、真介自身の言葉、”ようはさ、どんな企業に勤めてどんな役職になっているかっていうことより、それでやっている仕事の、自分にとっての意味の方が大事なんじゃないかな」 この言葉を自分に当てはめて思い出すと、最初のリストラの時に、万年課長で終わるのかと自分の将来を悲観して退職に応じたような記憶を思い出しました。

 

File3:永遠のディーバ:ディーバとは歌姫のこと。そういえば、サラブライトマンがそう言われていたかな(脱線)。
管弦打楽器事業部門に勤める飯塚正樹課長。学生のころまでは自前のバンド「ノー・ゲス」を結成して、ロックコンテストの全国大会で準優勝をした実績を持つ。
バブルの時の「一芸入社」で採用されたが、今は不景気で、実績が挙げられないでいる。そのためリストラの対象となる。
真介は、何かもやもやとしている飯塚に何か共感するものを感じて誘導していく。
結果、飯塚は真介の思い通りの選択?をするわけだが、ラストはとてもさわやかでハッピーエンド。ここら辺が、垣根涼介の真骨頂!(2017.01.11)

 

 

File4.リヴ・フォー・トゥデイ:今日を楽しく生きる、精いっぱい生きる。明日のことをいくら心配しても、また次の明日の心配がやってきて切りがない。それでは人生な何のためにあるのか?といった、哲学的な命題が根底にありそうです。
高校生の時から、ファミリーレストランでのバイトに精を出す主人公。バイトをしたいと父親に打ち明けた時の父親の言葉、「社会に出て、周囲から必要とされる人間になってほしい。社会的な立場で、偉いとか偉くないとかは関係ない」いい言葉ですね。私自身の記憶だと、万年課長になっているのがいやになって、早期退職制度に応募したっけ。
普段はやめさせる立場の真介が、今回は引き止め役になってしまう今回のストーリー。結果は・・・。主人公にとっては、ハッピーエンドになる予感で物語が終わってめでたしめでたし。やはり人のつながりは大切らしい。(2017.01.17)

 

ギャングスター・レッスン ヒートアイランドII (文春文庫) 垣根涼介

ギャングスター・レッスン 垣根涼介

内容(裏表紙のあらすじより)

渋谷のチーム「雅(みやび)」の頭(ヘッド)、アキは、チーム解散後、海外放浪を経て、裏金強奪のプロ、柿沢と桃井に誘われ、その一員に加わる。二人は、あらゆるテクニックをアキに教え込み、アキも持ち前の勘の良さで、課題をクリアしてゆく。はたして、アキのデビューはうまくゆくのか?「ヒート アイランド」の続編となる痛快クライムノベル。

私の感想

前作「ヒートアイランド」を読んだのがどうも3年前のようで、内容は全然覚えてません。本作だけの感想になりますが、主人公のアキはなんか頼りない若者に書かれている。それを桃井がOJTとしてフォローしていく。柿沢は詰めてく突き放しているようですが、全体としてはチームとしてまとまっていく。裏金強奪チームという、犯罪小説の設定で、決して人殺しはしないという暗黙の了解があって、その分安心して読んでいられる。
Lesson5実戦で、網代の沖の島で繰り広げられる、強奪の後の脱出劇、脱出用に用意しておいたゴムボートがアキのへまで穴が開いてしまい、空気が抜けて、穴をふさがないとどうしようもなくなる場面から、途端に話が面白くなります。
自分の意志とは裏腹に3人の逃亡の手助けをすることになる明美(アケミ)の登場がそのカギ。元ヤンキーで、考え方は単純、ただ現状に不満があって、いざというときに根性を発揮する、そういう性格付けなんだけど、アキをしのぐ姉御っていう感じ。
後日談もおさまりがよくて、いい作品でした(2017.01.09)

 

 

南米取材放浪記 ラティーノ・ラティーノ! (幻冬舎文庫) 垣根涼介

垣根涼介 ラティーノ・ラティーノ!

内容(裏表紙のあらすじより)

某年某月、作家は小説執筆のため、ブラジルとコロンビアの二十数都市を訪れた。かっぱらい、強盗は当たり前。誘拐、暴動、テロで渡航延期勧告も日常茶飯事! 喜怒哀楽全開で人々と語り、大地の音に耳を澄ましながら突き進む放浪取材。二か月間の旅の末に辿り着いた”大切な感覚”とは?三賞受賞作『ワイルド・ソウル』はこうして描かれた!

私の感想

”いい小説を書くためには、その小説の舞台となる場所に実感を持つ必要があるというのがぼくの持論だ。”で始まる、垣根涼介の南米取材放浪記。訪問した場所でのエピソードや印象が短いページでまとめられている。しかし、ブラジルもコロンビアもなんと過酷なところなんだろう。暑さと湿度だけで私には一日もいられない。そんなところに開墾で死に物狂いにならなるを得なかった日系一世の人たちのことを初めてこの本で実感させられた。そんな苦しみを乗り越えてあくまでも明るい人たち、お人好しの人たち、どんな感じなんだろう?と思う。”大切な感覚”とは作者もよく表現できないそうだけど、わたしにももちろん分かりません。ワイルド・ソウルの中身は全く覚えていないけど、機会があったら読み返してみたいなと思う。(2016.11.30)

 

 

クレイジーヘヴン(幻冬舎文庫) 垣根涼介

あらすじ

旅行会社に勤め、ありふれた日常への疑問を抱えて日々を送る坂脇恭一27歳。冴えない中年ヤクザと同棲し、美人局の片棒をかつぐ元OL田所圭子23歳。ある時、圭子が恭一の同僚をカモろうとしたことから、二人は出会い、絶望の底なし沼へと転がり堕ちていく。揺れる心、立ち塞がる枠(フレーム)——やがて、境界線を跳び越えて走り出した二人が掴んだ自由とは?

 

 

君たちに明日はない3 張り込み姫(新潮文庫) 垣根涼介

あらすじ

「一生の仕事なんて、ありえないんじゃないんですか?」変わり続ける時代の中で、リストラ面接官の村上真介が新たにターゲットとするのは―英会話スクール講師、旅行代理店の営業マン、自動車の整備士、そして老舗出版社のゴシップ誌記者。ぎりぎりの心で働く人たちの本音と向き合ううちに、初めて真介自身の気持ちにも変化が訪れ…仕事の意味を再構築する、大人気お仕事小説シリーズ第3弾。

 

 

月は怒らない(集英社文庫) 垣根涼介

あらすじ

チンピラの梶原、大学生の弘樹、警察官の和田。何の接点もないように見える三人には共通点があった。それはある女の家に通っていること――。市役所の戸籍係で働く恭子は金にも物にも執着せず、相手に何も期待しない。そんな無機質で達観した女に、男たちはなぜ心惹かれるのか。女には、この世界の何が見えているのか。交差する思惑の中から浮かび上がるロクデナシたちの生き様を描いた長編小説。

 

 

ラティーノ/ラティーノ!(幻冬舎文庫) 垣根涼介

あらすじ

某年某月、作家は小説執筆のため、ブラジルとコロンビアの二十数都市を訪れた。かっぱらい、強盗は当たり前。誘拐、暴動、テロで渡航延期勧告も日常茶飯事!喜怒哀楽全開で人々と語り、大地の音に耳を澄ましながら突き進む放浪取材。二ケ月間の旅の末に辿り着いた“大切な感覚”とは?三賞受賞作『ワイルド・ソウル』はこうして描かれた。

 

 

ゆりかごで眠れ(上) (垣根 涼介)

ゆりかごで眠れ 上 (垣根涼介)

裏表紙のあらすじより

壮絶な幼少期を過ごしながらも、コロンビア・マフィアのボスにまで上りつめた日経二世のリキ・コバヤシ・ガルシア。その彼が、一人の少女を伴い来日した。目的はライバル組織に売られ、日本警察に拘留されている部下の奪還と復讐、そして・・・
ひとりの男と彼に纏わる(まとわる)人間たちの愛憎を描く傑作巨編。(2014.03.22記)

 

 

ゆりかごで眠れ(下) (垣根 涼介)

ゆりかごで眠れ 下(垣根涼介)""

あらすじ

ゴンサロへの復讐を果たし、日本警察からのパパリト奪還を急ぐリキ。ある日、彼は、迷子になったカーサを送り届けた元刑事・若槻妙子と出会う・・・。安らぎを夢見つつも、憎しみと悲しみの織の中でもあき彷徨う男と女。血と喧騒の旅路の果てに待つものは、一体何なのか? 人の心の在処を描く傑作巨編。(裏表紙のあらすじより)(2014.03.22記)

 

 

サウダージ ヒートアイランドIII (垣根 涼介)

サウダージ (垣根 涼介)

あらすじ

故郷を捨て、過去を消し、ひたすら悪事を働いてきた日経ブラジル人の高木耕一は、コロンビア人の出稼ぎ売春婦DDと出会う。気分屋でアタマが悪く、金に汚い女。
だが耕一はどうしようもなくDDに惹かれ、引き摺られていく。DDのために大金を獲ようと、耕一はかって自分を捨てた仲間・・・裏金強奪のプロである柿沢に接触する。
(裏表紙のあらすじより)(2014.03.22記)

ワイルド・ソウル(垣根涼介)

 

 

文庫本下巻裏表紙のあらすじより

おれたちの呪われた運命に、ケリをつけてやる・・・・。日本政府に対するケイたちの痛快な復讐劇が始まった!外務省襲撃を目撃した記者、貴子は、報道者としてのモラルと、彼らの計画への共感との板挟みに苦悩。一方ケイと松尾は、移民政策の当時の責任者を人質にし、政府にある要求をつきつける。痛恨の歴史を、スピード感と熱気溢れる極上のドラマに昇華させた、史上初三冠受賞の名作。

感想

やっと読めました。

 

最初文庫本の下巻だけを入手。そのあと、105円の上巻をちょっとしたタイミングで買い逃して以来2,3カ月。
上巻を400円で買う覚悟でブックオフに行きそれを手に取り、それでもと、未練たらしく単行本の105円コーナーを覗きます。
奇跡です!ありました!!本の不思議な巡り合わせはやはりあります。

 

夢中で読みました。最初はかみしめるようにして、後半はただただ先を読むのが楽しみで、最後はもう終わりに近づくのがもったいない。
すごいストーリーです。日本からブラジルへ移民した人々の、表しようのない地獄の生活。
知りませんでした。知らされていませんでした。こういうことが、これまでの日本では数知れずあるのだろうと思い至り、ぞっとします。

 

日本の外務省に復讐するための計画が実行されます。その中でも、人は傷つけない・殺さない配慮がされている。奇想天外のようで、実際に起こっても不思議ではないような展開。このストーリーをまねした犯罪が起こらないかとちょっと心配になるくらいです。

 

計画自体は成功しました。

 

読み終わったとき、誰かが幸せになったのか?とフト自問。
ストーリーの意図、作者の意図も、こういう悲惨な状況が日本にあることを国民に知らしめる。そこにあったような気が私はします。そういう意味で大成功です。

 

文庫本のあとがきで、このようなことを筆者の垣根さんは書いています。

 

今おれが見ている世界の感覚を具現化したい。
書きたい世界の商品としての消化をきちんとしたい。

 

そう悩み、考え抜きながら、ぼんやりしたものが見えてきた時点で、
南米へ行記、各地を訪ね歩いた。

 

そして結論を得た。
九ヶ月後、この作品を仕上げた。
書き上げたとき、確かな手ごたえがあった。

 

おれはやった。

 

この本は、私がその当時、持てる力のすべてを出し尽くした作品です。

 

作者の渾身の熱気が伝わってきます。
(2013.05.14記)

ヒートアイランド(垣根涼介)

内容紹介

大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞W受賞作家の傑作ミステリー
ストリートギャング雅の頭アキとカオルがやばい金に関わった仲間を救うために立てた作戦とは。疾走する少年たちを描くミステリー

内容(「BOOK」データベースより)

渋谷でファイトパーティーを開き、トップにのし上がったストリートギャング雅。頭のアキとカオルは、仲間が持ち帰った大金を見て驚愕する。それはヤクザが経営する非合法カジノから、裏金強奪のプロフェッショナルの男たちが強奪した金だった。少年たちと強奪犯との息詰まる攻防を描いた傑作ミステリー。

 

 

午前3時のルースター(垣根涼介)


裏表紙のあらすじより
旅行代理店に勤務する長瀬は、得意先の中西社長に孫の慎一郎のベトナム行きに付き添ってほしいという依頼を受ける。
慎一郎の本当の目的は、家族に内緒で、失踪した父親の消息を尋ねることだった。
現地の娼婦・メイや運転手・ビエンと共に父親を探す一行を何者かが妨害する・・・・
最後に辿りついた切ない真実とは。

感想

いわゆるアクションものとは違って、かっこいいアクションもないし、殺人事件が起こるわけでもありません。
何者かの妨害を、知恵を絞って、かいくぐっていきゴールにたどり着く。
そして、最後に、妨害のわけが種明かしされます。
読み終わってから、内容を振り返って、感慨深くなる小説です。(2012.08.04)

君たちに明日はない(垣根涼介)

裏表紙のあらすじより

「私はもう用済みってことですか!?」
リストラ請負会社に勤める村上真介の仕事はクビ切り面接官。
どんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、なぜかこの仕事にはやりがいを感じている。
建材メーカーの課長代理、陽子の面接を担当した真介は、気の強い八つ年上の彼女に好意をおぼえるのだが……。
恋に仕事に奮闘するすべての社会人に捧げる、勇気沸きたついんげんドラマ。
山本周五郎賞受賞作。

感想

初めて読む作者です。
主人公は、リストラ請負会社に勤める村上真介。
仕事はクビ切り面接官。どんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、この仕事にやりがいを感じている。
面接する相手のことを詳細に調べ上げて、面接に当たり、けっしておざなりな対応はしない。相手を納得させたうえでリストラを受け入れさせる。といった、展開なんですが、物語は、もっと泥臭い、人間臭いところまで踏み込んで展開していきます。
“恋に仕事に奮闘するすべての社会人に捧げる、勇気沸きたつ人間ドラマ”とキャッチコピーにありますが、なるほど、こういう小説の書き方もあるのかと思わされました。山本周五郎賞受賞作だそうです。

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