高嶋哲夫の本を紹介します

高嶋哲夫の本を読みました。書名をクリックするとその本の紹介へジャンプします。

 

衆愚の果て 高嶋哲夫 幻冬舎文庫)

衆愚の果て 高嶋哲夫

内容紹介

無職の二十七歳、大場が衆議院議員になった。二千万円超えの年収、都心の一等地に立つ宿舎、海外視察費約二百万円など、特権を手にして歓喜する。だが、多すぎる議員数や手厚い議員年金など、自身の身を削らずに国民にばかり負担を強いる政治家に次第に嫌悪感を抱き、自ら制度改革に動き出す……。政界の実態を抉る痛快エンタテインメント!

読んでみての感想

政治家の実態がものすごくよくわかりました。確かに1日やったらやめられないわけだ。なぜ政治家になりたがるのかがよくわかった。
比例代表制が何のためにあるのかがわからなかったが、本作品を読んで、不要だと確信した。
政治が数の倫理で動いているというのもよくわかった。

 

何より腹立たしいのが、国家のために政治を志している政治家が少ないこと。
現状を見えていると、本当に感じさせられることである。

 

作品では、外国から来た介護士が、国家試験で漢字が読めなくても合格させるための制度改革が、具体的なテーマに挙げられた。
確かにこれぐらい具体的だと、政治家が頑張れば改革できそうで、とてもわかり易い。

 

改革できない理由ならいくらでも挙げて、改革を阻むことは容易い。

 

考え方の根本は、国民が暮らしやすくなるようにするという視点が一番大事なこと。
そういうことを納得させられた。

 

以下、作品の内容から離れて、私見。
議員の数が多すぎるから減らせという議論の一つの解決策を思いついた。

 

議員の持ち場で役割分担を明確にすればよい。

 

議員には、村会、町会、市会から県会、国会と多くいる。
何か、それぞれが、重複して仕事をしていないか?

 

それぞれの役割は何か?
村会から県会議員までは、それぞれの地域の生活を面倒見ること。

 

それでは、国会議員の役割は何か?
答えは自ずから出てくるだろう。

 

国会議員は国政を論ずるために存在する。
決して、出身地域の利益を代表するものではない。

 

そう考えてはどうだろうか?

 

そうすれば、各県に最低一人必要だとかという主張はなくなる。
国会議員は、幾つかの県の県会議員とコミュニケーションを取って政策を進めれば良い。

 

議員の役割分担がはっきりする。
参議院は必要なくなるし。

 

とにかく各議員の役割分担と相互の協力関係を明確にしてしまおう。
そうして重複する部分をなくせば、ずいぶん無駄が減る。
全体の議員の数だって減らせる。

 

名案だと思いますが、どうでしょう?
政治家の役割分担を考え議論するのが、国会議員の重要な役割じゃないのかな?
(2018.02.08)

 

ミッドナイトイーグル 高嶋哲夫 文春文庫

ミッドナイトイーグル 高嶋哲夫

内容紹介

米空軍のステルス爆撃機が北アルプスに墜落! その搭載物をめぐって男たちの死闘が始まった。報道カメラマン西崎勇次もその渦中に……。かたや週刊誌記者の松永慶子は、横田基地に侵入・逃走した北朝鮮の工作員に接触する。吹雪の北アルプスと東京。2つの場所で、男と女は絆を取り戻せるのか。渾身の国際謀略サスペンス。

読んでみての感想

高嶋さんの作品は、読んでいて作中のシーンが目に浮かぶように描かれる。この作品もその一つ。事実、2007年に映画化されている。
登場人物が、大沢たかお、竹内結子、玉木宏、吉田栄作、藤竜也の面々。ぴったしのはいやく。DVDが借りられたら見たくなる。
話自体は、猛吹雪の北アルプスで、こんなに活動ができるのか?まるでスーパーマンの活躍のように思えた。
アメリカの核戦略に穴を開けようとして北朝鮮が引き起こした事件。
山中に墜落した米軍のステルス爆撃機に搭載されている核爆弾を巡っての戦闘シーンが続くが、結局的に包囲されて刻一刻と絶望の淵へ進んでいく。
夫婦の心の絆は強く結ばれたというエンディングだけれども、本当に困難でいいのだろうか。政治の世界の酷薄さに、ラストは虚しさが残るものだった。(2017.12.22)

 

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富士山噴火 高嶋哲夫 集英社文庫

富士山噴火 高嶋哲夫

内容紹介

元陸上自衛隊の新居見は3年前の南海トラフ大地震で妻と息子を失った。生き残った娘とは絶縁状態だ。ある日、この国が経験したこともないような巨大災害……富士山噴火が近いという情報を旧友の記者から得る。大地が震え、大量の噴石が降り注ぐ中、人々を待ち受ける運命とは。新居見は今度こそ、愛する人を救えるのか!? 日本壊滅の危機を、そして父と娘の絆の再生を描く感動の災害エンタメ!

内容紹介

どんどん先を読みたくなった。文庫本で600頁あまりだが、最後は一気。
さすが災害ものの第一人者。まるで映画を見ているように目の前に情景が浮かんできた。

 

読んでいるうちに知らずに火山噴火について詳しくなるのが良い。それも押し付けがましくなしに。
高嶋さんの作品は、みなそのようだと思う。

 

登場人物があまり亡くならないのも良いと思う。今回はどうなるか最後までハラハラしてしまった。
楽屋落ちになるので明かさないが、結末はよかったんじゃないかな。

 

富士山はこの頃はよく夕方になると見に行くことが多くなった。長い目で見ると5日はその形が変わってしまう。
今のうちにせいぜいその勇姿を目に刻み込んでおこうと思う。(2017.12.02)

 

 

イントゥルーダー 高嶋哲夫 文春文庫

イントゥルーダー 高嶋哲夫

内容紹介

25年前に別れた恋人から突然の連絡が。「あなたの息子が重体です」。日本を代表するコンピュータ開発者の「私」に息子がいたなんて。このまま一度も会うこともなく死んでしまうのか……。奇しくも天才プログラマーとして活躍する息子のデータを巡って、「私」は、原発建設がからまったハイテク犯罪の壮絶な渦中に巻き込まれていく。

読んでみての感想

交通事故にあった「私」の息子は、麻薬の売人の疑いをかけられたまま、意識が戻らずに死んでしまう。その息子が残した情報を「私」が追いかけていくことで、息子の無実を晴らすどころか「私」が犯罪に巻き込まれていく。
その犯罪が原発建設に絡むのと、その事実を突き止めるのがコンピューターのハッキング技術によるというところが、作者の得意分野の知識を存分に活かしてストーリー作りがされたと思われる。
作者のごく初期の作品で、話の運び方がぎこちない感じがしないでもなかったが、イントルーダ(侵入者)という言葉の意味をストーリの要に据えて勧めているところは流石だと感じた。
結末があまりにもあっけない終わり方で、一体どうなってのかが、わたしにはわかりにくいのが残念。
余韻を残したといわればそれまでかも知れないが。(2017.11.26)

 

ジェミニの方舟 東京大洪水 高嶋哲夫 集英社

ジェミニの方舟 高嶋哲夫

内容紹介

空前の双子台風が東京を直撃。大洪水に備えろ!
大型の台風23号と24号が合体、巨大台風ジェミニが東京を襲う! 愛する家族は、都民は、首都水没の危機を乗り越えられるのか!? 最新研究を元にリアルに描く『M8』を凌ぐ災害パニック大作。

 

もし、史上まれな強風を伴う超大型台風が日本を襲ったら。もし驚異的な雨が降っていたら。もし…。埋立地、ゼロメートル地帯、網の目のように広がる地下街と地下鉄網。いつ起きてもおかしくない首都水没への警鐘。

読んでみての感想

秋雨前線による集中豪雨に、巨大台風による雨風が重なって東京に大洪水を引き起こす。
いろいろな災害が現実に起こっている現在の状況をみれば、その設定は決して空想のものとは言えなくなってきている。

 

読み進むにつれて内容がどんどん現実に思えてくる展開。
気象学者の玉城とその家族、そして災害に対処する関係者の動きがまるで映画を見ているように刻々と描写されていく。

 

一旦荒川の堤防が決壊すれば、東京中の地下鉄が水没してしまう。言われてみればその通りだという気がして、恐ろしくなってきた。
わかりきっていることなのに、なぜ現実では対策がされないのか?

 

作中に出てきて実在する、首都圏外郭放水路は中小河川の洪水対策のためで、荒川のような大河川の洪水には力足らず。
溜池幹線、神田川/感情7号線地下調整池も同様。
荒川スーパー堤防は、内容を殆ど知らなかったのでネットで検索。一口で言うと堤防の幅を広げて決壊を防ぐ発想。

 

自然の猛威に対してはとても太刀打ちできないというのが実情のよう。

 

フィクションドキュメンタリー「荒川反乱」H29.3改訂版
https://www.youtube.com/watch?v=h3YylcsxOyU

 

これは見ておくべき。

 

以下、素人の思いつきだけど、
堤防が決壊しそうなところが限られているなら、そこを広げれば良い。
川を浚渫して流れる容量を増やせば良い。

 

などと思うんだけど。後始末の費用よりもよっぽど安上がり。(2017.11.12)

 

 

M8(エムエイト) 高嶋哲夫 集英社

M8(エムエイト) 高嶋哲夫

内容紹介

東京をマグニチュード8の直下型大地震が襲う!!若手研究者・瀬戸口が東京直下型大地震を予知。阪神大震災を同じく体験した三人の同級生たちそれぞれの葛藤を軸に、首都大地震を最新の研究を反映して完全シミュレーションした書き下ろし力作!

読んでみての感想

TUNAMIを読んでからその前作のM8を読みたいと思ってたら、ブックオフに出てました。3回目のときで「念ずれば通ずる」
単行本はかさばるのであまり買わないのだが即購入。

 

お話は割と淡々とした感じで進む。
東京直下型大地震の予知、予兆、その時、一日目、二日目、希望と続く。
映画のような凄まじい場面の描写はあまりない。
一人ひとりの地震への対応を描くことで、大地震の恐ろしさはひしひしと伝わってくる。
主人公瀬戸口の地震シミュレーションとその結果を東京都知事が受け入れたことで、被害はかなり抑えられた。
この作品は、1995年の阪神淡路大震災を経験した作者により2005年に刊行され、地震とはどういうものか、対処しきれるか、いかに事前に対策をしておくことが重要かを訴えている。

 

現実はどうなったか?
その後、2011年の東日本大震災を経験してその復興は未だに途中。
東海地震は科学的に予知は困難と公表され、事前の対策と起こったときの対応に重点が置かれることになりそうだ。
作中で、「国も大きな災害が起こる前に、防災にお金を注ぎ込んだほうが、結果的には安上がりだってことにやっと気づいたのね」という言葉が出てくるが、国家予算の1%をつぎ込めばという提案もしている。
北朝鮮対応でミサイル防御云々の話もあるようだが、何十億とか何百億円とかかかるのかな?
災害は必ずやってくる、その対策をコツコツと進めていくのがとても大切だと思う。

 

ネットで見つけた作者の言葉の一部を引用しておく。

これは避けることのできない出来事で人生を失った者たちの「再生」の物語です。
作家として、神戸に住む者として、科学を志した者として、書いておかなければならない小説、それがこれです。
この本を読んで、少しでも地震を理解し、そのために生き残ることが出来たという人が現われれば幸いです。

 

昨夜、著者の災害3部作の3冊目、『ジェミニの方舟-東京大洪水』をネットで注文した。
今ネットで確認すると、文庫本が『東京大洪水』に改題されて出ているようだ。これだったらブックオフにおいてあったな、ちょっと失敗、ま、いいか。(2017.11.05)

 

TSUNAMI 津波 高嶋哲夫 集英社文庫

TSUNAMI 津波 高島哲夫

内容(裏表紙のあらすじより)

東海大地震。起きる起きないが問題なのではない。それは必ず起きる。だから、今から何をしなければならないのか。独自のハザードマップを作り、地震対策に努める26歳の市役所防災課職員がいた。だが、大地震が連続して発生。空前の大津波が太平洋岸を襲う!
その時恋人は、超高層ビルの建築主は、原子力発電所の職員は、自衛隊員は、首相は、どう運命と向き合ったのか!?大迫力の防災サスペンス作品。

読んでみての感想

作品は、東海大地震などが発生したときをシミュレーションした小説。

 

2005年に刊行されたというのに、2011年の東日本大震災の惨状を目の当たりにするようなリアルな描写がとても衝撃的。

 

いや、それよりも数倍激しい状況が描かれてる。何しろ東海、東南海、南海の3つの大地震が同時に起こってしまう。高いところでは20メートルの津波が、静岡から四国にかけて襲ってくる。

 

地震の警戒情報が出されているときの、住民や役所の反応の鈍さ。読んでいてやきもきさせられる。そして実際に地震が起こり、津波が襲ってきた時のパニックの状況。リアルすぎる。

 

作品では原子力発電所がメルトダウン直前で回避されるが、その様子がとてもリアル。

 

なぜこんなにリアルな描写ができるのか?日本原子力研究所所員という作者の経歴を見て納得させられる。

 

「事実は小説よりも奇なり」というが、東日本大震災の惨状が記憶に残っているうえに、この小説でさらに大変な惨状を見せつけられた。

 

今さらながら、現状で防災とが減災ということについて対処や心構えができているか?とても不安。

 

こういう防災サスペンスで、もっと我々を啓蒙してほしいと強く願う作品である。(2017.09.24)

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